予防的流動性枠(PLL)は、健全な経済政策とファンダメンタルズを有しているものの、依然として脆弱性を抱えるために柔軟与信枠(FCLを利用できない加盟国の流動性ニーズに応えるようにできています。

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目的

健全な政策を実施しているが、依然として脆弱性を抱える諸国の実際または潜在的な国際収支上のニーズに応えるため、金融支援を提供します。

適格性

健全なファンダメンタルズと制度的な政策枠組み。

強力な政策を実施してきた持続的な実績と、このような政策を将来も維持する継続的なコミットメント

直近の4条協議で政策についての評価が全体的にポジティブだったことに加え、大きく5つの分野に分類される以下の基準を使用して各国の適格性を評価します。

対外ポジションと市場アクセス:

  • サステナブルな対外ポジション
  • 資本勘定のポジションで民間フローが支配的
  • 有利な条件で、国際資本市場に対して安定した独立的なアクセスを有してきた実績
  • 取極が予防的なベースで要請された場合は、IMF支援を正当化する潜在的な国際収支圧力があったとしても、外貨準備ポジションに比較的余裕があること

財政政策 :持続可能な政府債務のポジションなどの、健全な財政

金融政策:健全な金融および為替政策枠組みの下で、低く安定したインフレ

金融部門の健全性と監督

  • 金融システムが健全で、同システムの安定性を脅かすような支払い能力上の問題がないこと
  • 効果的な金融部門の監督

データ適切性 :データの完全性と透明性

適格性は、上記5つの適格性分野のうち、3つの分野における強いパフォーマンスに基づいて判断されます。ある分野での大きなアンダーパフォーマンスは、その加盟国がPLLの適格性を満たさないことを示します。

また、承認時に次のいずれかの状況である国は適格と見なされません。

  • 国際資本市場に継続的にアクセスできない
  • 大きなマクロ経済政策または構造政策の大きな調整が必要(そのような調整が承認前に確実に開始された場合は除く)
  • 公的債務ポジションが中期的に高い確率で持続可能でない‌
  • 広範な銀行破綻

 

コンディショナリティ

事前のコンディショナリティ は適格基準として規定されています。1年から2年のPLL取極に対する事後のコンディショナリティには、明示的目標、標準継続的パフォーマンス基準、必要な場合は、その他のパフォーマンス基準および事前の行動や構造的ベンチマークなどがあります。6か月のPLL取極に対する事後のコンディショナリティには、標準継続的パフォーマンス基準や、必要な場合は事前措置があります。詳細はコンディショナリティをご覧ください。

審査手順

6か月取極に対する審査はありません。

1年から2年の取極に対しては、IMF理事会による6か月置きの審査が行われます。その国が取極時に、確かな国際収支上のニーズを持つ場合は、審査と時期を合わせ、半年に一回、段階的に融資が提供されます。

条件

期間

6か月もしくは1~2年。

返済期間

3年3か月~5年


金利

融資金利 は以下によって構成されています。

  • 市場で決定される特別引出権(SDR)の金利(下限は5ベーシスポイント)とマージン(現在は100ベーシスポイント)、これらを合わせて基本金利といいます。
  • 上乗せ金利。これは融資残高の金額と融資期間に基づいて計算されます。各国のクォータの187.5%を超える融資残高については、200ベーシスポイントの上乗せ金利が適用されます。融資残高が3年後もクォータの187.5%を超えている場合は、この上乗せ金利が300ベーシスポイントに上昇します。上乗せ金利の目的は、多額のIMF資金の長期間使用を抑制するためです。

融資資金には、各12か月間の期首に、その期間中に引き出し可能な金額に対して課せられるコミットメント手数料が適用されます(コミットメント額に対し、クォータ115%未満については15ベーシスポイント、クォータの115%超575%未満の部分に対しては30ベーシスポイント、クォータの575%超の部分に対しては60ベーシスポイント)。手数料は、当該期間中に引き出しが行われた場合、日割りで返金されます。融資を全額引き出した場合、手数料は全額返金されますが、‌引き出しがなかった場合、手数料は返金されません

引き出し額に対して、50ベーシスポイントのサービスチャージがかかります。

利用枠

6か月のPLLの取極は、各国クォータ150%(予定されているPLL買い戻しを差し引いたもの)を上限とします。地域的または世界的な緊張の高まりなどの外因性ショックの影響により、その国に実際または潜在的な、より大きな短期的な国際収支上のニーズが生じた場合、取極ごとの上限はクォータの300%に引き上げられる可能性があり、これは6か月取極における合計利用枠の上限です。

1年から2年のPLL取極については、年間融資利用限度がクォータ300%(予定されているPLL買い戻しを差し引いたもの)、取極全体では合計でクォータの600%という上限が設定されています。利用枠の継続は、IMF理事会による6か月ごとの審査の完了を条件とします。

すべてのPLL取極の下での利用枠は、取極の期間にかかわらず、累積利用限度額として、予定されているPLL買い戻しを差し引いたうえで、クォータの600%を超えないものとします。また、PLL取極には、一般資金勘定(GRA)の下でのすべての資金調達に適用される年間および累積利用限度額が適用されるため、例外的アクセス方針の対象となります(予定されている買い戻しを除いたうえで、GRAの通常利用限度額である年間145%および累積435%、またはGRA利用限度額の一時的な引上げにより、2024年3月まで年間200%および累積600%のいずれかを超える資金調達の場合に例外的措置が発動)。

 

その他の融資制度

IMFの融資について、また、PLL以外の融資制度については、各ファクトシートをご覧ください。

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更新は 2023年10月でした