2021年6月号 英語版
バックナンバー
ルパ・ダタグプタジェイラ・パザルバシオル
コロナ禍は2年目に突入したが、新興市場国の今後の動向について懸念が深まっている。現在までのところ、新興市場国は新型コロナウイルスからの打撃が大きかった産業や世帯を対象に異例の救済措置を講じることで、今回の危機がもたらした悪影響に迅速に対応してきた。2020年3月に見られた金融ストレスが短期間で終わった後、大半の新興市場国は世界金融市場に戻り、資金ニーズを満たすために債券を新規に発行できるようになった。しかし、世界経済の回復動向を見ると、一部諸国が他国よりも速いペースで復興している。また、コロナ禍を取り巻く不確実性も高い。こうした中で市場が激しく動く可能性は高くなるだろう。こうして変化する環境の中を進み、両立困難な政策のバランスをとり、持続的な復興を達成していく過程で、新興市場国の政策担当者の力が試されることになるだろう。
続きを読む
ジム・オニール
新型コロナウイルスの大流行がなければ、過去10年間のGDP成長率は、2000年から2009年の3.7%をわずかに下回る約3.6%となっていたはずだった。種々の課題を考慮すればまたパンデミック前のムードに反して、悪くない数字だ。実際、2000年以降の各10年間には、成長率がいずれも約3.3%だった1980年代や1990年代よりも力強い経済成長が見られた。その結果何億人もの人々が絶対的貧困を脱した。その一因となったのは、いわゆる新興市場国がけん引した奇跡的な成長であり、中でもその中心となっていたのが私の愛するBRICsだ。
デビッド・ダラー 黄益平 姚洋
2012年、中国政府は長期目標を設定した。中華人民共和国の建国100周年を迎える2049年までに発展した豊かな国を全面的に実現する、というのがそれだ。197年に経済の改革開放を始めて以降の成功を思えば、そのような変革は間違いなく実現可能だ。ただ道のりは困難であり、成功が保証されているわけではない。
マムード・プラダン
この1年間に新興市場国資産は驚くべき底堅さを示し、新型コロナウイルスのパンデミック発生当初に見られたより悲観的な予測を裏切ることになった。