2020年9月号 英語版
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イアン・ゴールディン
感染症にかかった乗客が武漢からミラノに飛び、コンピュータ・ウイルスがインターネットに侵入し、アメリカ中西部で起きたサブプライムローンのデフォルトが世界経済危機を引き起こす。グローバル化の恩恵のスーパースプレッダー(ハブ空港、光ファイバーケーブル、世界的な金融センター)は、その害悪のスーパースプレッダーでもある。これがグローバル化の「バタフライ逆効果」であり、ある所でのささいな行動が急速に拡散して世界に影響を及ぼす、私たちの生きるハイパーコネクテッドな世界特有のシステミック・リスクだ。
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ジェフリー・オカモト
今般のパンデミックは、リスクや不確実性に対する私たちの考え方や管理方法を根本的に変化させ、投資判断や事業戦略や政府政策、そして全体的な経済生産性に長きにわたり影響を及ぼす可能性がある。
ジョセフ・スティグリッツ
パンデミック以前から格差は深刻で、またパンデミックによって社会に潜む格差が容赦なくあぶり出されたとはいえ、残念ながら政府が何か手を打たなければポスト・パンデミックの世界では格差が一段と広がる可能性がある。
バリー・アイケングリーン
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)は世界経済にとって究極のストレステストとなっており、新興市場国や発展途上国についてもこの点が当てはまる。当初、空路による世界との結びつきが弱い低所得国にはウイルスが波及しないのではという希望があった。また、サブサハラアフリカのように、過去に感染症の流行が見られた国ではウイルスの封じ込めが可能ではないかとの希望もあった。こうした希望は打ち砕かれることになった。今となっては、私たちは新型コロナウイルスが世界のあらゆる場所で脅威となっていることを知っている。しかも、本格的な保健危機を回避できた国においても、金融への影響は深刻なものとなっている。
アンドレアス・アドリアーノ
テクノロジーは世界を動かし続けてきたが、教育、所得、職種の面での潜在的な分断線も浮き彫りにした。こうしたジレンマへの解決策は複雑だ。 先進国か発展途上国かを問わず、各国はテクノロジーを味方につけるべきであり、各国政府は包摂性を優先事項にしなければならない。