アジア太平洋地域経済見通し

一次産品と新型コロナ、金利上昇を要因に減速するアジアの成長

2022年4月

アジア太平洋地域の政策当局者は難しいトレードオフに直面しており、長期的な成長を促進する経済改革を実行しつつ、燃料・食料コストの上昇から最も脆弱な層を守る必要に迫られている

アジア太平洋地域では、ウクライナにおける戦争とパンデミックの再燃、そして国際金融環境のタイト化という逆風を受けて、経済成長が年初の予想に比べて鈍化する見込みだ。

IMFの最新の予測によれば、同地域の今年のGDP成長率は1月時点の予測を0.5%ポイント下回る4.9%となり、昨年の6.5%から減速することになる。また、多くの国で、元々の水準が相対的に低いもののインフレ率の上昇が加速すると見られている。

成長が減速し物価が上がることで、戦争や感染拡大、金融環境のタイト化という課題と合わさって、回復の下支えとインフレおよび債務の抑制との間の政策トレードオフがより一層困難になる。

IMFの最新の予測によれば、ロシアによるウクライナ侵攻が経済成長にとって最大の課題となる。域内の先進国が欧州の需要低下による打撃を最も大きく受けるのに対し、新興市場国は世界的な一次産品価格の上昇の影響を受ける。

アジア太平洋地域経済の成長率予測