IMF理事会、クォータ増額の提案を承認
2023年11月7日
- 理事会は総務会に対して、クォータを50%増額し加盟国に現在の割当額に比例して配分することを提案。
- クォータ増額は、IMFの恒久的な財源を増強し借入資金への依存度を低減させることにより、世界の金融安定を確保することに資するだろう。
- 本提案では、さらなるクォータの調整に向けた指針として考えられる複数のアプローチを2025年6月までに策定すべく取り組むことも求めている。
ワシントンDC: 理事会は本日、総務会によって検討されることになる、大幅なクォータ増額を伴う第16次クォータ一般見直し(第16次見直し)の完了に関する提案を承認した。本提案は、2023年年次総会における国際通貨金融委員会(IMFC)のガイダンスに従うものである。
理事会の決定を受けて、クリスタリナ・ゲオルギエバIMF専務理事は次のように述べた。「第16次見直しを完了しクォータを増額することは、国際金融セーフティネットの中心にあり、強固で、クォータを基礎とし、かつ、十分な資金基盤を有するIMFを維持することに資するでしょう。十分な資金基盤を有するIMFは、世界の金融安定を確保し、不確実でショックが発生しやすい世界における加盟国の潜在的なニーズに応える上で必要不可欠です」。
本提案は、クォータを50%増額し、加盟国に現在の割当額に比例して配分することを軸としている。クォータ増額は、IMFの恒久的な財源を増強するとともに、借入への依存度を低減させIMFの資金基盤におけるクォータの主要な役割を確保することを通じてクォータを基礎とするIMFの性質を強める。
本提案では、クォータ増額が発効次第、国別借入取極と新規借入取極(NAB)から成る借入資金を縮小して、IMFの現在の融資能力を維持することが想定されている。
加盟国は、最も貧しい国々のクォータシェアを保護しつつ、世界経済における各加盟国の相対的な地位をより良く反映させるためにクォータシェアを調整することの緊急性と重要性も認識しており、提案されたクォータの増額と合わせてクォータの調整を直ちに行うことを多くの加盟国が支持したであろうと考えられる。したがって、本日の提案のもうひとつの重要な要素として、理事会に対し、第17次クォータ一般見直しの下で、新たなクォータ計算式を通じたものを含め、さらなるクォータシェアの調整に向けた指針として考えられる複数のアプローチを2025年6月までに策定すべく取り組むことを求めている。このガイダンスを実施するための取り組みは、第16次見直し完了後、可能な限り早く開始される。
ゲオルギエバIMF専務理事は「クォータ増額の提案は、世界経済とIMFの加盟国が複雑な時期にある中で行われました。 国際協調の精神に基づき、本提案が加盟国から可能な限り幅広い支持を集め、第17次見直しの下でクォータの調整に関して前進することを私は期待しています」と述べた。
専務理事はさらに、「世界が分断化の進行に対処する中、本日の決定は、困難な世界環境において加盟国の舵取りを効果的に支援するIMFの能力に対する信頼の醸成につながるような協調的な解決策を、加盟国が団結して支持することが依然可能であるという強力なシグナルを送るものです」と述べた。理事会は、総務会が2023年12月15日までに本提案に関する投票を行うことを要請している。総務会による承認には、総議決権の85%の多数による賛成が必要となる。
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ファクトシート: IMFクォータ
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