第 43 回国際通貨金融委員会(IMFC)コミュニケ(仮訳)

2021年4月8日

委員会は、レセチャ・クガニャゴ総裁の IMFC 議長としてのリーダーシップに深い感謝を示し、新たな議長としてマグダレーナ・アンデション大臣を歓迎する。

我々は、新型コロナウイルス(COVID-19)が引き起こした人命の損失とそれに伴う苦難に対し、お悔やみ申し上げる。我々は、パンデミックを世界のあらゆるところで終息させ、強固で、持続可能で、均衡のとれた、包摂的な回復を確保するため、引き続き共に取り組む。

世界経済は、過去に例を見ない政策対応とワクチン開発の急速な進展により、昨年 10 月時点での予想よりも早く危機から回復しつつある。しかしながら、政策余地の差、経済構造・硬直性の違い、危機以前から存在した脆弱性、ワクチンへのアクセスのばらつきにより、回復の見通しは不確実性が高く、各国内・各国間でばらつきがある。金融の脆弱性の高まりは、世界の金融環境が急速に悪化した場合、リスクをもたらす可能性がある。今般の危機は、気候変動やその他の我々共通の課題が一層切迫している中で、長引く傷跡をもたらし、貧困及び不平等を悪化させる可能性がある。

我々は、危機から確実に抜け出すため、政策を策定し、協力を強化する。我々は、ワクチンの生産を加速させ、全ての人々への安価で公平な分配を支援するための、強固な国際協力の必要性を強調する。このため、我々は、WHO の作業、ACT アクセラレータにかかる協力及びその下の COVAX ファシリティを、引き続き支援する。我々は、保健関連の支出及び最も脆弱な人々に対する支援を引き続き優先し、長期的な財政の持続可能性を維持しつつ、経済活動に対する制約が有意に和らぐまで、各国の状況に応じた政策支援を継続する。金融政策は、適切な場合には、中央銀行のマンデートと整合的な形で、引き続き緩和的であるべきである。我々は、金融の脆弱性や金融安定性に対するリスクについて、マクロプルーデンス政策等により、監視するとともに、必要に応じ対処していく。我々は、世界経済の持続的な成長を支えるマクロ経済・構造政策を通じて、過度な世界的不均衡を徐々に縮小させるため、引き続き監視・協力する。

強固なファンダメンタルズや健全な政策は、国際通貨システムの安定に不可欠である。我々は、為替レートは根底にある経済のファンダメンタルズを反映することに引き続きコミットし、また、為替レートの柔軟性は経済の調整を円滑化しうることに留意する。我々は、外国為替市場の動向に関して引き続き緊密に協議する。我々は、為替レートの過度な変動や無秩序な動きが、経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得ることを認識する。我々は、通貨の競争的切下げを回避し、競争力のために為替レートを目標としない。

我々はまた、包摂的で強じんな世界経済を確かなものとするために、多国間協力を強化する。我々は、パリ協定に沿って、悪影響を受ける人々を保護しつつ、よりグリーンな社会及び雇用の豊富な経済への移行を加速するための措置を通じて、気候変動に対処することに強くコミットする。これらは、各国固有の状況を考慮しつつ、財政上・マーケット上・規制上の対応・仕組み・ポリシーミックスの幅広い措置からなる。我々は、デジタル経済の可能性を切り拓き、現代的かつ世界規模で公正な国際課税システムに向けた取組を加速するために、引き続き協力する。我々は、汚職への対処等による強固なガバナンスへの我々のコミットメントを再確認する。我々は、世界経済の成長を後押しする鍵である、より開かれ、安定し、公平で、透明性のある貿易政策の促進の必要性、及び世界貿易機関の下でのルールに基づく貿易システムの現代化の必要性に同意する。我々は、低所得国の資金需要への対応を支援するため、包括的な行動をとっている。我々は、引き続き、債務者及び公的・民間の債権者双方の債務の透明性の慣行を強化し、債務の持続可能性を維持するための各国の努力を支援するために協働する。適切な場合には、我々は、措置の同等性の原則に沿って、公的・民間の債権者による幅広い参加を得て、迅速な債務措置を促す。

我々は、専務理事のグローバル政策アジェンダを歓迎する。

我々は、危機からの持続的回復に向けて加盟国を支援する IMF の取組を歓迎する。我々は、SDR の報告及び使用における透明性及び説明責任を強化しつつ、準備資産を補充する全体的かつ長期な必要性に応じるため、IMF が 6,500 億ドルの新規の SDR 一般配分について包括的な提案を行うよう求める。

我々は、IMF が、危機の緊急局面から脱する国々の高次クレジットトランシュプログラムへの移行を支援することを歓迎する。我々は、IMF に対し、そのマンデートと整合的な形で、脆弱な低所得国・中所得国に対し、どのように更なる支援を行うのかを検討するよう求める。我々は、IMF に対し、加盟国の回復に向けた取組を支援するため、SDRの配分後の自発的な融通の方法について、加盟国と共に引き続き検討するよう求める。我々は、IMF が低所得国への譲許的資金インストルメントの改革を探求するとともに、新たな参加国からの貢献も含め、貧困削減・成長トラストの融資能力を増強し、大災害抑制・救済基金による債務支払救済の最終トランシュへの十分な貢献を確保することを支持する。我々は、IMFが、脆弱国、紛争被害国、小国及び難民受入国が直面している固有の課題への対処を助けるため支援を強化していることを支持する。我々は、スーダンに関するIMF向け延滞債務の解消及び拡大重債務貧困国イニシアティブの下での債務救済の資金パッケージに対し、加盟国が貢献することを奨励する。我々は、パリクラブでも合意されたG20の債務支払猶予イニシアティブ及び「共通枠組」の効果的な実施支援の継続や、国家債務再編の効率的な実施を支援するための主要政策の見直し及び強化された手段の展開を含め、世界銀行と共同で債務アジェンダを推進するIMF の作業を歓迎する。

我々は、各国の状況に応じた最先端の政策助言及びマクロ金融分析を提供する際のサーベイランスの重要な役割を強調する。これは、的を絞った能力開発によって支えられる。我々は、「統合的な政策枠組」等を踏まえた、資本フローに関する IMFの「機関としての見解」の見直しを期待する。IMFは、気候変動がもたらすマクロ経済や金融上のインプリケーションについて、ガイダンスを求める加盟国からの多様なニーズに応える重要な役割を有する。したがって、我々は、IMFが、パートナーとの緊密な連携の下で、加盟国が気候変動・デジタル化・不平等・脆弱性のマクロ的に重要なインプリケーションを特定し対応するための支援を強化すること、これらの課題をそのマンデートと整合的な形でサーベイランス・融資・能力開発に一層取り込むことを支持する。我々は、IMFがそのマンデートの実施に必要なスタッフ及びスキルを確保するための適切な予算規模を検討する。我々はまた、進行中の現代化の取組を支持し、多様性に関して更なる進捗を求める。

我々は、グローバル金融セーフティーネットの中心にあり、強固で、クォータを基礎とし、かつ、十分な資金基盤を有する IMFへの我々のコミットメントを再確認する。我々は、新規借入取極(NAB)の倍増及び新たな二国間借入取極(BBA)の発効を歓迎する。我々は、クォータの十分性について再検討することに引き続きコミットし、2023年12 月15 日までに、指針としての新クォータ計算式を含め、第 16 次クォータ一般見直しの下で IMFのガバナンス改革のプロセスを継続していく。我々はこの作業の開始を歓迎し、年次総会までに最初の進捗報告を期待する。

次回 IMFC 会合は、2021 年 10 月 14 日に開催される予定である。

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参加者一覧は下記ページに掲載

https://0-www-imf-org.library.svsu.edu/ja/News/Articles/2021/04/08/attendance-list-communique-of-the-forty-third-meeting-of-the-imfc

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