国際金融安定性報告書

2021年1月 改訂報告書

2021年1月

ワクチンで市場はコロナへの免疫を獲得するも政策的な支援は依然必要

改訂報告書の全文

国際金融安定性報告書(GFSR)アップデートのポイント

  • コロナ感染者が増加し、経済見通しに関する不確実性が持続しているが、ワクチンの承認と接種開始により世界的な景気回復の期待が高まりリスク資産の価格が上昇した。
  • ワクチンが広く行き渡るまでは、経済活動と金融市場の回復を維持するために財政金融面での支援策を継続することが必要である。ワクチンが衡平に配分されないと、特にフロンティア市場国を中心に金融面での脆弱性が高まる恐れがある。
  • 国際ポートフォリオ投資は回復傾向にあり、2021年に多額の借り換えが必要となる新興市場国にとって資金調達の選択肢が広がっている。
  • 緩和策によって流動性の問題は抑えられてきているが、クレジット市場では比較的高リスクのセグメントやパンデミックの影響を大きく受けている業種を中心に、支払能力に関する懸念が遠からず再浮上する恐れがある。低金利の下で収益性の低下から銀行が融資を継続・拡大する能力や意欲が将来的に低下する恐れがある。
  • 十分な支援なしには世界経済が修復されない恐れがあり、政策当局は持続的な回復が定着するまで支援策を続けるべきだ。しかしながら、投資家が恒常的な救済策の維持を前提として行動し、資産価格が上昇を続ける中で市場の危機感の緩みが蔓延している現状があり、市場の調整が起こるリスクにも当局は備えるべきである。
今後数年にわたって緩和的な金融政策スタンスが維持されると見込まれている中、脆弱性の蓄積を抑制することで中期的な成長リスクを抑えるべきである。