IMF世界経済見通し

2021年1月 改定見通し

2021年1月

政策支援とワクチンが経済活動を活性化させる見込み

改定見通しの全文

  • 最近のワクチン承認によって今年後半にはパンデミックが収束に向かうとの期待が高まっているものの、新たな感染の波や、ウイルスの新しい変異種が見通しにとって懸念の種となっている。世界経済は異例の不確実性の中、2021年に5.5%2022年に4.2%の成長を遂げると予測されている。2021年については、前回の予測から0.3%ポイント上方修正されている。これは、本年後半にはワクチンの後押しを得て景気が加速するという期待と、いくつかの主要国における追加的な政策支援を反映している。
  • 本年予測されている成長の回復は、女性や若者、貧困層、インフォーマル労働者、対人接触の多い部門に従事する人々に深刻な負の影響をもたらした2020年の大幅な落ち込みに続くものである。2020年の世界経済の成長率はマイナス3.5%と推定されており、前回の予測を0.9%ポイント上回っている(これは、同年下半期の勢いが予想以上に強かったことを反映している)。
  • 景気回復の力強さには各国間で大きなばらつきが出ると予測されており、医療介入へのアクセスや政策支援の有効性、国際的な波及効果による影響、危機発生時の構造的特徴が決め手となる(図1)。

 

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  • 回復が確実に軌道に乗るまでは政策行動によって実効的な支援を行う必要がある。その際、潜在GDPを引き上げ、すべての人を利する参加型成長を実現し、低炭素化を加速するという重要な緊急課題の進捗に重点を置くべきである。202010月の「世界経済見通し(WEO)」で述べられているように、炭素価格の引き上げを最初は小幅だがその後着実に行う一方でグリーン投資を強化すれば、パンデミックによる景気後退からの復興を支えつつ必要な炭素排出削減を実現できる。
  • あらゆる場所でパンデミックを制御するためには、強力な多国間協調が求められる。こうした多国間協調の努力には、すべての国のワクチンへのアクセスを加速すべくCOVAXファシリティに対する資金拠出を強化すること、ワクチンの全世界的な流通を確保すること、すべての人が手頃な価格で治療法にアクセスしやすくなるようにすることが含まれる。低所得途上国を中心に、多くの国は債務水準が高い中で危機を迎え、パンデミック下で債務水準はさらに上昇する見込みである。国際社会は引き続き緊密に協力し、こうした国々が国際流動性に適切にアクセスできるようにする必要がある。公的債務が持続不可能な場合には、適格国はG20で合意された共通枠組みの下で債務を再編すべく、債権者と協力しなければならない。

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