国際金融安定性報告書

2020年6月 改訂報告書

2020年6月

金融状況は改善するも、のしかかる倒産多発の恐れ

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GFSR 改訂報告書のポイント

  • 年初来急落していたリスク資産の価格が反発し、主要金利も低下した結果、金融環境は全般的に改善した。
  • 中央銀行が深刻な市場ストレスの対処を目標として迅速かつ大胆な施策をとった結果、新興市場を含め市場マインドは好転した。いくつかの新興市場国では中銀による資産買入が初めて行われた。こうした取り組みが一助となって金融環境が緩和している。
  • 大幅な不確実性が蔓延する中、金融市場と実体経済の動向に乖離が生じており、この脆弱性を背景にリスク選好の低下が景気回復の中断につながる恐れがある。
  • 新型コロナウイルスのパンデミックが金融システムに内在する他の脆弱性を顕わにする恐れがある。債務水準が高すぎて返済不能に陥る借り手が生じ、借り手の破綻に伴う損失によって銀行の強靭性が試される国も出てくるかもしれない。
  • 一部の新興市場国やフロンティア市場国では債務の借り換えリスクが問題となっており、資本市場へのアクセスが失われている国もある。
  • 当局にあっては、実物経済を引き続き支えつつ、金融面での脆弱性を注意深くモニタリングし、金融安定性の確保に努めるべきである。