IMF理事会、低所得の適格国25か国を対象に債務救済を拡大

2021年12月21日

ワシントン DC – [2021 12月20日]: 国際通貨基金(IMF)の理事会は2021年12月15日、25の加盟国を対象とする大災害抑制・救済基金(CCRT)の下で行われている債務救済について、最終ラウンドの第5次トランシュを承認した。IMFに対する返済期限が2022年1月11日から2022年4月13日までの債務が対象となった。

 第5次トランシュは総合でおよそ8210万SDR(約1億1500万米ドル)だった。これまで、2020年4月13日と2020年10月2日、2021年4月1日、2021年10月6日に4つのトランシュが承認されてきた( 20/165 20/304 21/99 21/291 のプレスリリースを参照) 。これらは新型コロナウイルスのパンデミックの打撃を和らげるべく、対象国が貴重な財的資源を緊急医療や社会、経済の必須項目に充てることを後押しする。2020年4月13日に始まって以降、2年間におよんだ新型コロナ関連の債務救済が第5次トランシュにて完了した。債務救済額は累積で約6億9000万SDR(9億6400万米ドル)となった。

 クリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事は2020年3月、CCRTに充てるため、10億SDR(14億米ドル)の贈与を求め緊急の資金調達活動を開始した。これによりCCRTは、新型コロナに関連する債務返済のための資金援助を最長2年間提供することが可能となるほか、将来のニーズに応じる資金を十分確保できる。これまでに、欧州連合(EU)、英国、日本、ドイツ、フランス、オランダ、スペイン、スイス、ノルウェー、シンガポール、ギリシャ、中国、メキシコ、フィリピン、スウェーデン、ブルガリア、ルクセンブルグ、マルタ、インドネシアなどから合計約6億900万 SDR (約8億5200万米ドル) の拠出が表明された。

理事会による評価 [1]

 理事会は、2年間のうち、2022年4月13日までの残りの期間について、大災害抑制・救済基金(CCRT)の下で行われている受益国に対する新型コロナ関連の債務救済の、最終ラウンドとなる第5次トランシュを承認するとの職員の提案を支持した。

 理事会は、2020年4月14日から2022年1月10日までに返済期限が迫るIMFへの債務に対する債務救済に充てるCCRTの贈与が、最も貧しく脆弱な加盟国がパンデミックとその影響に対処するための財源を確保することに役立ったと指摘した。理事会はCCRT適格国に対し、新型コロナ関連支出に関するガバナンスのセーフガードの導入について引き続き進展を図るよう奨励し、透明性と説明責任の重要性を改めて表明した。理事会はまた、一部のCCRT適格国が高次クレジット・トランシュ・プログラムへ移行したことを歓迎した。これにより回復期間の政策枠組みが強化される。理事会はさらなる進展を期待している。

 理事会は、この支援の資金調達を支えた18のIMF加盟国およびEUからの寛大な支援を賞賛した。しかし、これまでに表明された贈与額の総額である約6億900万SDRが、2年間の新型コロナ関連の債務救済全体のコストにおよばず、また、10億SDRの資金調達目標を大幅に下回ることを指摘した。

 理事会は第5次トランシュの承認により、コロナ前にあったCCRTの現金バッファーが大幅に減少し、将来の緊急事態に備えてCCRTの救済能力が制限される可能性があることを確認した。 しかし、パンデミックによる人的・経済的損失が続いていることを考慮すると、トランシュの承認には正当性が大いにあるとの考えに至った。よって理事会は、CCRTの資金不足に対処するため資金調達を続けることが緊急に必要であるとの見解で一致した。IMFからの同時融資要請を踏まえ理事会は、現在行われているさまざまな取り組みをドナーがより良く理解し、優先付けすることを支えるために、資金調達に対するより協調的なアプローチを奨励した。

 理事会は、 2023年度に予定されているCCRTの包括的な見直しに期待した。これには、アクセス・ルールや、CCRTの持続可能性を確保するための資金調達の枠組みに関する議論が含まれる。資金不足のリスクを管理するために、多く理事会メンバーは、先に実施した見直しについて、職員が直面する重労働に留意しつつ、利点を見出した。



[1] IMF理事会の議長である専務理事は、議論終了時に結論を理事会の見解として要約し、その要約が当該国の政府当局に提出される。要約で使用される修飾語句の定義は次のリンクを参照。 http://0-www-IMF-org.library.svsu.edu/external/np/sec/misc/qualifiers.htm .

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