新型コロナウイルス非常事態に関する G20財務相・中央銀行総裁電話会議を受けた ゲオルギエバIMF専務理事による声明
2020年3月23日
ワシントン DC G20財務大臣・中央銀行総裁による電話会議を受けて、クリスタリナ・ゲオルギエバ国際通貨基金(IMF)専務理事は本日、次の声明を発表した。
コロナウイルスのパンデミックによる人的被害はすでに計り知れないものになっており、どの国も人々を守り、経済損失を抑えるために力を合わせる必要があります。今こそ連帯が必要な時です。これがG20財務大臣・中央銀行総裁による電話会議の重要テーマでした。
私は特に次の3点を強調しました。
第一に、世界経済の見通しです。2020年はマイナス成長となり、少なくとも世界金融危機と同じくらいか、それよりも悪いリセッション(景気後退)となるでしょう。しかし、2021年には回復を見込んでいます。そのためには、どの場所においても、封じ込めを最優先とし、医療制度の強化を行うことが最重要です。経済的影響は深刻であり、この深刻さは今後も継続するでしょうが、ウイルスを止めるのが早ければ早いほど、回復の速さと力強さも高まるでしょう。
医療制度を強化し、ウイルスの影響を受けた労働者や企業を守るために多くの国々がすでに講じている特別な財政措置を私たちは強く支持します。また、主要中央銀行が金融政策を緩和するためにとっている動きを歓迎します。こうした大胆な取り組みは各国単体の利益にかなうだけでなく、世界経済全体にとっても良いでしょう。特に財政面を中心にさらに多くのことを行う必要があるでしょう。
第二に、全体的に見て、先進国はこの危機に対応する上で体制が比較的整っていますが、多くの新興市場国と低所得国は大きな課題に直面しています。こうした国々は資本流出の影響をひどく受けており、また、感染症対策を行っていく中で国内の活動に深刻な影響が生じることになるでしょう。この危機が始まって以降、投資家はすでに830億ドルの資金を新興市場から引き上げています。この資本流出の規模は史上最大です。債務ストレス下にある低所得国のことを私たちは特に憂慮しており、世界銀行と密に連携をしながらこの問題に取り組んでいます。
第三の点として、私たちIMFが加盟国支援のために何ができるかです。
- 国別・多国間サーベイランス(政策監視)の双方について、私たちはコロナウイルス危機とその影響緩和のための政策措置に注力するようにしています。
- また、80近い国々から支援の要請を受けており、緊急融資を大規模に拡大していきます。他の国際金融機関とも緊密に協力していきます。
- くわえて、最貧国支援のために、大災害抑制・救済基金の増資を行っています。これまでに加盟国に約束して頂いた資金拠出を歓迎するとともに、他の国々にも参加を呼びかけています。
- 総額1兆ドルの融資能力をすべて駆使する準備がIMFにはできています。
- また、他の選択肢も検討しています。いくつもの低所得国・中所得国が、世界金融危機時と同様にIMFにSDRの配分を行うように要請しており、私たちは加盟国とともに本選択肢を検討してまいります。
- 主要な中央銀行が新興市場国とのスワップラインの設置を始めています。世界的に流動性逼迫が影響を及ぼし始める中で、加盟国によるさらなるスワップライン追加が必要となっています。この点についても、私たちは理事会・加盟国とともに、IMFスワップ型の制度を含めて、スワップラインのより広いネットワークの促進に役立つ提案ができないかを検討していきます。
現在、類稀なる状況にあります。多くの国々が異例の措置を講じています。IMFの私たちも、全加盟国と協力しながら、同じように取り組んでいきます。世界中のあらゆる人々を支援するために、この非常事態を協力して切り抜けていきましょう。
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