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アジア諸国の政策立案者ら、包括的かつ持続可能な成長達成に向け議論

[2020年2月13日、東京] アジアの新興国及び発展途上国の政策立案者が今日、東京で開催された国際会議に参加、開発への投資ニーズと健全な財政政策のバランスを取りながら、より包括的かつ持続可能な成長達成に向けて知見を交換しました。

「発展するアジア:包摂的かつ持続可能な成長達成のための健全な財政管理」と題された同会議は、国際通貨基金(IMF)と国際協力機構(JICA)による共催で、アジアから財務大臣や中央銀行総裁を含む24人の政策立案者が参加しました。またIMFとJICAの様々な部門に所属するエコノミストや専門家が最新の研究結果を発表し、活発な議論を促しました。

開会の辞には、IMFの古澤満宏副専務理事が登壇し、教育、保険、交通、電力、水、衛生など様々な分野で持続可能な開発目標(SDGs)を大幅に前進させるためには、世界中の国々がさらに投資をする必要があると述べました。古澤は「2030年までにこうした分野で実質的成果を生むために必要な追加支出は非常に大きい」と語り、開発途上国がSDGsを達成するためには、2030年までにGDPの約15%に相当する規模で歳出を増やす必要があるとするIMFの研究結果を紹介しました。また古澤は、歳入の増加、歳出の改善、公的債務管理の強化が、包括的かつ持続可能な成長を達成する鍵であると強調し、これらの分野での知見を共有するよう参加者を促しました。

同会議は、主要なSDGs達成に向けた資金面から、財政管理改革に至るまで、幅広いトピックを取り上げました。

午前の部では、IMF財政局のメルセデス・ガルシア・エスクリバノが、SDGsを実現するためにはアジアでどれだけの投資が必要かを示し、新興国と発展途上国の歳出増加は、2030年にGDPの10%相当になると述べました。そのうえで、構造改革による歳入の増加、公共財務管理改革を通じた歳出効率の改善、正確で包括的かつタイムリーな債務データの提供による債務の透明性向上が重要であると付け加えました。一方、エジプトとラオスからの参加者は、より健康な人々によって包括的な成長を支えるため、政府機関がユニバーサルヘルスケアの立案と歳出効率の改善に向けて、どのように協力しているかを紹介しました。

午後の部では、南アジアと公共財政管理に焦点を当てた議論が行われました。IMFアジア太平洋局のエコノミストであるアンドリュー・ホッジは、南アジアにおいては農業生産性を向上させ、製造業を拡大し、より高いスキルのサービスを促進する必要があると述べました。アジア地域出身の他のプレゼンターは、開発目標の推進に向けた債務管理経験を共有しました。タイのIMF能力開発事務所のホルガー・ファン・エデンは、公共投資管理や実行予算を含む重要分野において、アジア諸国で実施されている公共財政管理改革を紹介しました。

最後のセッションでは、ラウンドテーブル会議が行われ、参加者は自由に意見を交換し経験を披露しました。アフガニスタンのモハマド・フマヨン・カヨーミ財務大臣は、包括的な成長のためには人々、特に女性のテクノロジー教育が重要であることを強調しました。フィリピン中央銀行のベンジャミン・ディオクノ総裁は、フィリピンの電子決済システム導入に向けた努力が、金融の安全性の向上、金融包摂の深化、腐敗の防止に役立つと述べました。ラオス、モンゴル、JICAの参加者は、政治担保と財政規律への国民支持を両立する最良の方法や、妊産婦の健康施策への支出改善を通じて女性の労働参加を支援する方法、質の高いインフラ投資を確保するための官民連携パートナーシップの管理方法などについて、意見を述べました。

同会議は、2011年の初回以来、シリーズ5回目の共催事業。IMFは、他機関と連携しながら、SDGs達成に向けて包括的かつ持続可能な成長と経済政策の分野で引き続き加盟国を支援します。