委員会、グループ、クラブに関するガイド

世界の政治指導者や当局者は、さまざまな議論の場や機関を通じてIMFの活動を形作ります。IMFは世界の金融市場や各国での出来事に対する世界レベルでの協調的対応の中心にいることから、これらのグループの活動内容と仕組みを理解することは重要です。

国際通貨金融委員会(IMFC)

国際通貨金融委員会(IMFC)は、国際通貨・金融システムの監督と管理に関してIMFの総務会へ助言および報告を行います。これには、システムに混乱を引き起こしかねない顕在化しつつある事象への対応策に関するものも含まれます。IMFCはまた、理事会によるIMF協定の改正案を協議し、総務会から委ねられるその他の問題について助言をします。IMFCは公式な意思決定権を持ちませんが、実際には IMFの作業や方針に戦略的な方向性を与える重要な手段となっています。


IMFC は通常、年に2回、世銀・IMF年次総会および春季会合の際に会合を開きます。それぞれの会合に向けて専務理事が議題案を作成し、理事会での協議と IMFC議長による承認を経て、IMFCが会合でこれを正式に採択します。IMFCは会合の終了時に、見解をまとめたコミュニケ(声明)を発表します。このコミュニケは、次回の春季会合あるいは年次総会までの向こう半年間の IMFの業務プログラムの指針となります。

IMFCの規模と構成は、理事会の規模と構成を反映しています。中央銀行総裁または大臣級の24名の委員が IMFCを構成しています。 委員は通常、2024年10月に加わった最新の加盟国であるリヒテンシュタイン公国を含めて今や191か国となったIMF加盟国の総務から選出されます。

理事を選出した加盟国もしくは加盟国グループがそれぞれ、IMFCの委員を指名します。現在の議長はスペインのナディア・カルビーニョ第1副首相兼経済・デジタル変革大臣であり、委員会を率いるべく、2022年1月3日付けで2年を任期として選出されました。


IMFCは、議長の選出を含めてコンセンサス方式を採用しています。任期についての正式な規定はありませんが、2007年以降に選出された IMFC議長は 3年を任期としています。世界銀行を含む複数の国際機関が、IMFCの会合にオブザーバーとして参加します。

IMFC委員

議長(スペイン)
アルジェリア  ブラジル  カナダ 
チリ  中華人民共和国 コートジボワール
デンマーク  フランス  ドイツ 
ハンガリー  インド  インドネシア 
イタリア  日本  大韓民国 
オランダ  ナイジェリア  ロシア 
サウジアラビア  スペイン  スイス 
アラブ首長国連邦  英国  米国 

合同開発委員会

合同開発委員会として知られている「発展途上国への実質的資源の移転に関する世界銀行および国際通貨基金総務会の大臣級合同委員会」は、開発に関連する重要事項および、途上国の経済発展を促進する上で不可欠な財源について、IMF と世界銀行の総務会へ助言することを目的に、1974 年 10 月に設置されました。合同開発委員会は通常、年に 2回、IMFC の会合に続いて開催されます。

合同開発委員会は、IMF と世界銀行の全加盟国を代表する 25 名(通常は財務大臣や開発担当大臣)で構成されます。現在、ウルグアイ東方共和国のアスセナ・アルベレチェ経済財務大臣が議長を務めています。


合同開発委員会 委員

議長(ウルグアイ東方共和国)
バーレーン ブラジル カナダ
中華人民共和国
デンマーク フランス
コンゴ共和国 ドイツ インド
イタリア 日本 マレーシア
メキシコ モロッコ オランダ
ロシア サウジアラビア 南アフリカ
南スーダン共和国 スイス トルコ共和国 
英国 米国

先進7か国グループ

先進7か国グループ(G7)は、1975 年から年次経済サミット(元首・政府首脳レベルの会合)を開催しています。財務大臣・中央銀行総裁レベルでは、G7は1986 年から1987 年にかけ、特にG5 およびカナダの合意に続き G7 が承認した 1987 年 2 月のルーブル合意を受けて、G5の後を継ぐ主要な政策協調グループとなりました。1987 年以降、G7 の財務相・中央銀行総裁は少なくとも年に 2 回会合を開いて、世界経済の動向を監視し、経済政策を評価しています。 

IMF 専務理事は通常、招待ベースで、G7 財務相・中央銀行総裁のサーベイランスに関する協議に参加します。G7 は主要先進国間の経済・金融問題に関する協議の場としての役割を引き続き果たしています。


G7参加国

カナダ
フランス
ドイツ
イタリア
日本
英国
米国

先進10か国グループ

先進10か国グループ(G10)は、一般借入取極(GAB)への参加に同意した国のグループです。 GABとは、IMFの資金が加盟国のニーズを下回ると推定される場合に発動することができる補完的な借入取極です。GABは1962年に締結され、IMFの加盟 8か国(ベルギー、カナダ、フランス、イタリア、日本、オランダ、英国、米国)の政府と加盟 2か国(ドイツ、スウェーデン)の中央銀行が、参加国(および特定の状況下では非参加国)による引き出しのための資金をIMFに提供することで合意しました。 

G10は1964年に、当時 IMF 非加盟国であったスイスの参加により強化され、参加国は11か国に拡大されましたが、名称はG10のまま変更されませんでした。発足後、G10は1969年の特別引出権(SDR)の創設につながった報告書を発表するなど、IMFとの関与を拡大しました。G10 はまた、ブレトンウッズ体制の崩壊に続く 1971年 12月のスミソニアン合意に至った協議の場でもありました。国際決済銀行(BIS)欧州委員会IMF、OECD は、 G10 の活動の公式なオブザーバーを務める国際機関です。


G10参加国

ベルギー
カナダ
フランス
ドイツ
イタリア
日本
オランダ
スウェーデン
スイス
英国
米国

15か国グループ

15か国グループ(G15)は、1989年9月、当時のユーゴスラビア・ベオグラードで開催された第9回非同盟諸国首脳会議で結成されました。G15は、より一層の成長と繁栄の実現という共通の目標を掲げるラテンアメリカ、アフリカ、アジアの国々で構成されており、投資、貿易、技術の分野での途上国間の協力に重点を置いています。以降、G15の参加国は17か国まで拡大しましたが、名称は変わっていません。

 

G15参加国

アルジェリア アルゼンチン ブラジル
チリ
エジプト インド
インドネシア イラン・イスラム共和国 ジャマイカ
ケニア マレーシア
メキシコ
ナイジェリア
セネガル
スリランカ
ベネズエラ・ボリバル共和国
ジンバブエ

20か国グループ

20か国グループ(G20)は、主要な先進および新興市場国・地域のグループです。1990年代後半の金融危機を受け、参加国間の政策協調を強化し、金融安定を促進するとともに、国際金融を近代化することを目指して、1999年に創設されました。

008年の世界金融危機の勃発に先立って、G20財務大臣・中央銀行総裁会議が開催され、国際金融・通貨政策、国際金融機関の改革、経済開発を取りまく問題が協議されました。2008年 11月には、元首および政府首脳レベルの G20首脳会合が初めて開催されました。それに続く2009年 4月と 9月の2回の首脳会合を開催する過程で、G20は世界経済問題に関して一段と積極的な役割を担うようになり、最終的に2009年のピッツバーグ・サミットで首脳らがG20を「我々の国際経済協力に関する第一のフォーラム」として指定するに至りました。IMFは特に世界経済成長と国際通貨・金融の安定性に関連する問題について、G20と密接に協力しています。IMFの活動がG20の討議の基盤をもたらすことや、その逆も多く、G20参加国間で達した合意はIMFにおいて法的地位や拘束力がないものの、IMFの意志決定プロセスで考慮されています。

G20は、G7、その他の主要12か国、欧州連合(輪番制の理事会議長国欧州中央銀行ECB)が代表)の元首および政府首脳、財務大臣、中央銀行総裁で構成されています。世界経済の協議の場と機関の連携を確保すべく、IMF 専務理事世界銀行総裁に加えてIMFC および合同開発委員会の議長も、職権上の資格でG20の会議に参加します。2023年はインドが議長国となっており、2024年はブラジルがそれに続きます。


G20参加国

アルゼンチン オーストラリア ブラジル
カナダ
中国 フランス
ドイツ インド インドネシア
イタリア 日本
大韓民国
メキシコ
ロシア
サウジアラビア
南アフリカ
トルコ共和国
英国
米国 欧州連合  

24か国グループ

24か国グループ(G24)は、当初はG77の一部でしたが、国際通貨および開発金融関連事項に関する新興市場国と途上国の立場を調整し、ブレトンウッズ組織の中でも特にIMFと世界銀行の IMFC や合同開発委員会の会合でこれらの国々の利益が適切に代表されるようにすることを目的として、1971年に設立されました。「国際通貨および開発案件に関する 24か国政府間グループ」を正式名称とするこのグループは、IMF関連機関ではありませんが、IMFが事務局の業務を行っています。G24参加国の大臣は通常、年に 2 回、IMFCと合同開発委員会の会合に先立って一堂に会します。中国は 1981年より「特別招待国」となっています。2023年は、コートジボワールのアダマ・クリバリ財務大臣がG24の議長を務めています。

 

G24参加国

アルジェリア アルゼンチン ブラジル
コロンビア
コンゴ民主共和国 コートジボワール
エクアドル エジプト エチオピア
ガボン ガーナ
グアテマラ
ハイチ
インド
イラン・イスラム共和国
ケニア
レバノン
メキシコ
モロッコ ナイジェリア パキスタン
ペルー フィリピン 南アフリカ
スリランカ シリア・アラブ共和国 ベネズエラ・ボリバル共和国

77か国グループ

The 77か国グループ(G77) (G77) は1964年6月15日に、ジュネーブでの第1回 国連貿易開発会議(UNCTAD)の終了時に採択された「77開発途上国共同宣言」により創設されました。 同グループは、参加国の総体的な経済面での利益を明確にして促進するとともに、国連システムにおける主要な世界経済問題全般を巡る合同交渉能力を強化するために形成されました。

以降、G77の参加国は 134か国まで拡大しましたが、その歴史的意義を踏まえて、当初の名称が維持されています。議長国は、地域ベース(アフリカ、アジア、ラテンアメリカ、カリブ海諸国)で輪番制となっており、任期は 1年です。2023年は、キューバが77か国グループの議長国を務めています。

G77参加国

アフガニスタン・イスラム共和国 アルジェリア アンティグア・バーブーダ アゼルバイジャン バハマ バーレーン バングラデシュ
バルバドス
ベリーズ ベナン ブーダン ボリビア ボツワナ ブラジル
ブルネイ・ダルサラーム ブルキナファソ ブルンジ カーボベルデ カンボジア カメルーン 中央アフリカ共和国
チャド チリ 中国 コロンビア コモロ コンゴ民主共和国 コンゴ共和国 
コスタリカ コートジボワール
キューバ ジブチ ドミニカ ドミニカ共和国 エクアドル
エジプト
エルサルバドル
赤道ギニア エリトリア エスワティニ エチオピア フィジー
ガボン ガンビア ガーナ グレナダ グアテマラ ギニア ギニアビサウ
ガイアナ ハイチ ホンジュラス インド インドネシア イラン・イスラム共和国 イラク
ジャマイカ ヨルダン ケニア 北朝鮮 キリバス共和国 クウェート ラオス人民民主主義共和国
レバノン レソト リベリア  リビア マダガスカル マラウイ マレーシア
モルディブ マリ マーシャル諸島 モーリタニア モーリシャス ミクロネシア連邦 モンゴル
モロッコ モザンビーク ミャンマー ナミビア ナウル ネパール ニカラグア
ニジェール ナイジェリア オマーン パキスタン パレスチナ パナマ パプアニューギニア
パラグアイ ペルー フィリピン カタール ルワンダ セントクリストファー・ネービス セントルシア
セントビンセントおよびグレナディーン諸島 サモア サントメ・プリンシペ サウジアラビア セネガル セーシェル シエラレオネ
シンガポール ソロモン諸島 ソマリア 南アフリカ 南スーダン スリランカ スーダン
スリナム シリア・アラブ共和国 タジキスタン共和国 タンザニア タイ 東ティモール トーゴ
トンガ トリニダード・トバゴ チュニジア トルクメニスタン ウガンダ アラブ首長国連邦 ウルグアイ
バヌアツ ベネズエラ・ボリバル共和国 ベトナム  イエメン ザンビア ジンバブエ  

 

 

金融安定理事会

2009年4月 にG20首脳は、金融市場のサーベイランスを強化するとして、かつての金融安定化フォーラム(FSF)のメンバーを拡大することを決定し、金融安定理事会(FSB)に名称を変更しました。新たにG20や香港特別行政区、オランダ、シンガポール、スペイン、スイスがメンバーとなっています。

FSBは、金融市場の機能の改善を支えるとともに、金融の安定性維持を担う当局間の情報の共有と国際協力の強化を通じてシステミック・リスクを低減することを目的としています。

FSFは、1999年4月14日にIMF本部で開かれた初会合以来、半年に 1 度会合を行っています。FSFは、1999年9月に IMFC のオブザーバーとなりました。

現在の FSB 議長は、オランダ中央銀行のクラース・クノット総裁です。FSBは、総会、運営委員会、必要に応じたその他の委員会およびサブグループ、そしてスイスのバーゼルにある事務局で構成されています。

総会は FSBの意思決定機関です。メンバー国の財務省、中央銀行、監督当局のトップ、主な基準設定機関や中央銀行の委員会の議長、国際金融機関(国際決済銀行、国際通貨基金、経済協力開発機構世界銀行)の上級代表で構成されています。運営委員会は、次回の総会までの間、業務に関する指針を示してFSBの方針を推進します。運営委員会の構成は、議長の提案に基づいて総会で決定されます。総会は、必要に応じて常設委員会および作業部会を設置することができます。

金融安定理事会メンバー

議長(1)
メンバー国・地域(25)
国際金融機関(4)
国際基準設定機関およびその他の機関(13)

債券国クラブ

パリ・クラブ

The パリ・クラブ は、先進国が大半を占める公的債権国の非公式グループであり、返済困難に直面している債務国に向けて協調的かつ持続的な解決策を探します。パリ・クラブ参加債権国は、定められた期間中や設定日における債務返済の繰延あるいは削減の形で債務国に債務救済措置を提供します。同クラブには法的基盤がありませんが、参加国は、債務の繰延に関する協調的な合意を迅速かつ効果的に実現するための一連の規則および原則に同意します。 

任意的な団体であるパリ・クラブは、アルゼンチンがパリで公的債権国と会合することに同意した 1956年に創設されました。以降、パリ・クラブと関連アドホックグループは、101の債務国を対象とする477件 の合意を締結してきました。パリ・クラブでは通常、債務国が繰延合意に適格とされるためにはIMF支援プログラムを実施している必要があることから、パリ・クラブと IMFは幅広い交流を持っています。

過去のグループ

時間の経過とともに変化を遂げたり、他に引き継がれたりした委員会やグループ、クラブもあります。そのようなグループの一部に関する背景情報をいくつか以下に記載します。

先進5か国グループ

主要先進国から成る先進 5か国グループ(G5) は、フランス、ドイツ、日本、英国、米国の経済政策の連携を目指して1970年代半ばに創設されました。G5は1985年 9月のプラザ合意まで、主要先進国間の中心的な政策協調グループでした。G5はその後、G7 に引き継がれました。

22か国グループ

1997年 11月のバンクーバーでの アジア太平洋経済協力(APEC)会合において、国際金融システムのアーキテクチャーの改革を推進する財務相および中央銀行総裁会議の開催が合意され、ビル・クリントン米大統領とその他のAPEC 諸国の首脳らが、22か国グループ(別名「ウィラード・グループ」)の暫定的な設立を発表しました。 G22は、G7先進国およびその他の15か国・地域(アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、中国、香港特別行政区、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、メキシコ、ポーランド、ロシア、シンガポール、南アフリカ、タイ)の財務相と中央銀行総裁で構成されていました。 



1998年 4月 16日にG22初の会合がワシントン DCで開かれ、国際金融システムの安定性および世界の資本市場の効果的な機能に関する問題が検討されました。G22はまず G33 に、その後 G20に引き継がれました。

33か国グループ

1999年初めに G22を引き継いだ33か国グループ(G33)は、その年の後半に G20へと姿を変えました。G7の財務相および中央銀行総裁の主導で、国際金融アーキテクチャーに関するG33セミナーが複数回開催されました。初の会合はドイツを開催国として、1999年3月11日にボンで開かれました。

G33は、アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、チリ、中国、コートジボワール、エジプト、フランス、ドイツ、香港特別行政区、インド、インドネシア、イタリア、日本、韓国、マレーシア、メキシコ、モロッコ、オランダ、ポーランド、ロシア、サウジアラビア、シンガポール、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、スイス、タイ、トルコ共和国、英国、米国の財務相および中央銀行総裁で構成されていました。


IMF Blog
IMFニュース @IMFNewsJapanese
IMFアジア太平洋地域事務所
covers

 

IMFとその業務についてもっと知るには

ニュースレターに登録する

登録(英語版)

更新は 2023年3月でした